AFTER POST OFFICE.
音楽祭の床を這う演者
光によって描かれる絵画
鏡の円柱を回る人
鏡の円柱に反射する光
光を浴びる踊る演者
半分だけ見切れる人
円柱と楽器を演奏する人
大きな紙に映る光と影
円柱に反射する風景と人
円柱に反射する光の線
光に向かって歩く人
光と影による絵画
即興の踊りで床を這う
鋭い光が描く絵画

うたた、転

UTATA

大きな鏡貼りの円柱が空間に挿しこまれた。円柱をぐるぐるとまわりながら、演者と観客が身体の旅を体験する。そんな音楽祭。

A mirrored cylinder was inserted into the space. At this music festival, performers and audiences experience an unknown physical journey by going around the cylinder.

うたた、転

01観客と演者の境界を溶かすこと

音楽祭の企画と空間設計に参画した。観客も演者も溶け合い、皆で星空に浮かんでいるような状態をつくりだすという音楽祭である。この状態を実現するために《まわる》という体験から出発して空間をつくることを考えた。盆踊りのようにまわることによって、観客と演者の境界は溶けてなくなり、未知なる身体が浮かびあがる旅のような、そんな音楽祭を期待した。

02空間に挿しこまれた円柱

こうしたコンセプトを実現するために、太い円柱を箱のなかに挿入することにした。実際の空間としては、六本木にある約七メートル角の箱の中心部に対して、二メートルの直径をもつ円柱を挿入した。円柱があることによって、訪れたあらゆる人々がグルグルとまわりはじめる。そこでは、観客と演者といった肩書き、そして社会や現実などが溶けてゆくに違いない。

03まわるという体験で現象する秩序

会場内部のルールとして《必ず反時計回りにまわること》を設定し、演者にも観客にも平等に周知した。このルール以外は、立ち止まっても、踊っても、歌っても、絵を描いても、声を上げても、何をしてもよい。様々な即興的な出来事が行われるが、それらの煩雑な混沌のなかでも、グルグルとまわる体験だけは失われることはない。この空間が秩序だって見えるのは、中央の円柱があることではなく、まわるという体験が守られていることに依拠している。まわるという体験をとおして、秩序が現象するのである。

04鏡貼りの円柱

まわるという体験を加速させるため、円柱を鏡貼りにすることにした。低予算であることを逆手にとって、鏡シートをガタガタのままに貼り付けた。その結果、鏡に反射したものは現実を少しばかり異化したものとなる。歪んだ鏡の円柱は身体や風景を反射しながら、それらを培養し、拡散し、揺らがせる。変様は加速してゆき、やがて風景も身体を溶けてゆく。こうして、まだ見たことない身体や風景が開示されてゆく。

05共鳴と反響

鏡貼りの円柱をまわることをとおして、言葉、舞踊、音楽、空間、光、詩、風、歌、すべてが共鳴して反響する空間が生まれた。まわるという体験を加速させることによって、観客と演者の境界を超えて、未知なる身体や風景が浮かびあがり、新しいかたちの音楽祭は成功した。ここで生まれたエネルギーはきっと身体の奥深くに留まり、生きる力や勇気を与えるだろう。世界は、まわるという体験のなかで少しずつ変様してゆくのである。

会場構成のアクソメ図
会場の平面図

音楽祭の予告動画
Teaser movie

音楽祭のなかで披露された唄
Songs in the event

Detail
𓃡  Card
プロジェクトカード

Works > UTATA

𓁿  Information

期間   2020年12月
種類   建築_パフォーミングアート_イベント
場所   六本木_東京
担当   山地大樹
チーム   室旬子/高須賀真之/水野雄一/朽木雄介/星茉里/菅野健一/石成永人/松島和音/ベティーアイモ/リリクリ/他

date   Dec.2020
type   Architecture_Performingart_Event
location   Roppongi_Tokyo
person   Daiki Yamaji
partner   Tokiko Muro/Masayuki Takasuka/Yuichi Mizuno/Yusuke Kuchiki/Mari Hoshi/Kenichi Kannno/Nobuto Ishinari/Kazune Matsushima/Betty Imo/Rerecre/Other

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