家を運ぶ
Carry "Home"家は暖かく、都市は冷たい。家ならではの居心地のよさを都市でも味わいたい。そうだ、家を都市に運びこんでしまおう。
Home is warm and city is cold. I want to feel the coziness of the home even in the city. Let's carry our "Home" to the city.
家を運ぶ
01家と都市のバランスを崩す
家はひとを暖かく包みこみ、都市はひとを冷たく突き放す。家と都市は互いに抵抗しあいながら、適度なバランスを保ち続けている。ある小さな朝、両者のバランスを少しだけ崩してみることを想像した。もし、家と都市の境界が乱れたならば、世界は少しだけ変様するに違いないだろう。そこで、家を都市へ運びこむことを決定した。家を都市に運びこむととなにが起きるのだろうか。これを検証するため、池袋の《イケ・サンパーク》という公園に向かって、自宅から家を運ぶことにした。ある秋の一日のことである。
02家を都市に運びこむ
もちろん実際に家を運ぶことなど不可能である。そこで、直径が五メートルの円形のシートを《家》に見立てることにした。朝、自宅に《家》を広げてそのなかで生活したあと、夜、その《家》をいったん箱に詰めこんだ。箱には小さな電球がつけられ、《家》の明かりが灯される。箱のなかに《家》が仕舞いこまれた。玄関を飛び出し、自宅から池袋までの長い道のりを、箱を抱えて歩き出した。一歩、また一歩と少しずつ足を進めていった。しばらくして目的地にたどり着いたから、《家》を箱から取り出した。こうして《家》は都市に運びこまれた。
03家が賑わいはじめるとき
はじめは何も置かれていなかった《家》だったが、次第に友人が集まって、お気に入りの家具やモノを置いていった。徐々にシートのうえは賑わいはじめ、まるで本当の家の様相を呈しはじめた。私たちは、家のなかのように盛大に振る舞ったが、特別なことをしたわけではない。ただ、《家》のうえで変わらない日常を過ごしただけである。ご飯を食べ、友人と喋り、本を読み、寝転がる。家だけが持つアットホームな雰囲気や居心地の良さが公共空間に漏れ出して、都市全体が家になるような不思議な感覚を味わった。
04家をとおして偶然の出会いが生まれる
リビングのような暖かい雰囲気に惹かれて、多くの子供達が入ってきて絵を描きはじめた。私たちは、とりたてて接待などすることなく、ただ孫が遊びに来たかのように振舞う。子供たち同士が楽しみながら仲良くなり、お母さん同士で交流が生まれた。しばらくすると、《家》のポスターに惹かれて知らないおじさんが入ってきて歴史の話に花が咲いたのは魅力的な体験だった。あらすじには描かれない偶然の出会いが《家》をとおして現われていった。家が都市に運ばれただけだというのに。
05家を都市から持ち帰る
都市に家が運びこまれると、新しい交流が生まれ、新しい出会いが生まれ、新しい繋がりが生まれてゆく。都市にひろげられた《家》は、その地域ならではの風景や体験をうつしだしてゆく。《家》が都市に運びこまれると、都市のに隠蔽されていた大切なものが浮上するのは大きな発見であった。日が赤く染まって一日が終わるから、《家》を持ち帰らなくてはならない。《家》を再び箱に詰めこみ、公園から自宅まで歩いて帰る。まだ箱の明かりは灯ったままだ。次はどこに向かって歩いてゆこうか。
プレゼンテーション
Presentation
Works > Carry home
期間 2020年10月
種類 街づくり_パフォーミングアート
担当 山地大樹
チーム 西昭太朗/ベティーアイモ/他
date Oct.2020
type City planning_performing arts
person Daiki Yamaji
partner Shotaro Nishi/Betty Imo/Other
- Coming soon
- Works ▷ House for boxes
- Works ▷ House for canvas
- Works ▷ Clocktower for wall
Works ▷ Carry home