AFTER POST OFFICE.
時計塔の正面の建築写真
大きな壁とドア
壁の内部のトップライトとトイレの関係
時計塔と滑り台
時計塔の断面模型
川の使い方のドローイング
川の使い方のドローイング
時計塔の敷地と配置イメージ
大きな壁と時計塔の風景
時計塔と空
壁のための時計塔のスケッチ

壁のための時計塔

Clock tower for wall

大きな壁と高い時計塔を川沿いに並べる。中央に広場が生まれて、人々が集まる場所ができる。小さな建築によって川という公共的な場所が発見される。

Large walls and tall clock towers line up along the river. People gather in a enclosed space. How to use a new public space where a river is emerged by small buildings.

壁のための時計塔

01小さな建築で川の魅力を引きだす

川の居心地をよくする提案を求められ、大規模な開発によって遊歩道を整備するようなものではなく、小さな建築によって河川の魅力を引き出すことを提案した。具体的には、公共トイレとしての大きな壁と、街に時間を知らせる高い時計塔を、多摩川沿いに並べてゆくという計画である。最小限の建築をつくることによって、川を魅力的なものにすることは可能だろうか。

02大きな壁と高い時計塔に囲まれた広場

最小限の建築によって、最大限の効果が要求される。そこで、大きな壁と高い時計塔を向かい合うように配置して、その隙間に囲まれた広場が現われるようにした。この広場は当初からつくられたものではなく、建物の配置によって事後的に発見されたものであり、明確な機能を持たないからこそ、様々な出来事がとり集めることができる。要するに、この広場は壁と時計塔によって囲まれているだけで、それ以外の特徴を何も持っていない。だから、訪れた人は建築家に決められた振る舞いを求められず、自由に振舞うことができる。

03広場に向かう遊具のような建築

広場に向かう一台の滑り台と、小さなブランコを建築に付加したのは、訪れた人が広場に参入する小さなきっかけとなると考えたからである。ただし、これらの遊具達は、広場のなかでの振る舞いを規定するものではなく、広場を発見する単なるきっかけに過ぎない。こうした小さな仕掛けが、広場のなかでの自由な遊びをうながすだけである。この考えを方を建築に延長するならば、建築は広場を事後的に現象させる一方で、広場での遊びを誘発する装置でしかないことが明らかになる。大きな壁も高い時計塔も、人々の遊びを誘発するに遊具に過ぎないのである。建築は人々を遊ばせることに徹している。

04大きな壁は遊びを誘発する

大きな壁は人々の遊びを誘発する。大きな壁のなかには二つのトイレがあり、鏡の筒から美しい光が揺らぎなが進入する。また、大きな壁の上階は災害用倉庫となっている。都市のなかには真っさらな壁が少ないから、大きな壁そのものが公共の資産になると考えた。大きな壁は、絵が描かれたり、映画がうつされたりして、広場での遊びを誘発する白いキャンバスとなるだろう。壁は広場をつくりながら、今度は広場によってつくられてゆく。壁にあけられた通常より二倍ほど大きなドアは、広場の人々の感覚を狂わせて、新しい遊びのきっかけとなることを期待した。

05高い時計塔は遊びを誘発する

高い時計塔は人々の遊びを誘発する。 高い時計塔の一階には多目的トイレがあり、上階は災害用倉庫となっている。都市のなかには高くから見下ろせる場所が少ないから、高い場所そのものが公共の資産になると考えた。高い時計塔は、人々が最上階に登って遠くの景色を見渡すことができ、川や空を発見する。最上階へ登った人々は、広場を眺めてから滑り台で広場へと戻る。時計塔は遊びを誘発する白い物見櫓となるだろう。最上階の天井裏の鏡貼りの仕上げは、広場の人々をうつしだし、新しい遊びのきっかけとなることを期待した。

06高い時計塔を並べること

大きな壁と高い時計塔は、その隙間に囲まれた広場をつくり出し、人々を遊ばせる遊具として働くに過ぎない。この考え方を川全体に応用するべく、時計塔を川沿いに並べることにした。すなわち、時計塔と時計塔の隙間に場所をつくりだし、人々を川全体で遊ばせるのである。時計塔を並べることによって、隣の時計塔まで歩いてみようとか、川辺まで降りてみようなどと人々に想わせ、川を再発見させるきっかけが生まれる。川全体を整備することなく、時計塔を配置するという最小限の手続きによって、時計塔の隙間の場所を魅力的に変えるのである。

07川の魅力は自分で発見するものである

川の魅力はつくられるものではなく、人々が自分で発見するものである。建築はその手助けをする遊具にすぎない。川を整備する大きな計画は、川そのものの居心地のよさを壊してしまう。川のうえに居心地のよい場所がつくられるばかりで、川そのものの居心地のよさは失われてゆく。そうした大規模開発に異議を唱えるべく、小さな計画によって川全体を遊び場とすることを提案した。これは小さな計画案に過ぎないが、パブリックスペースという概念が、「つくられる場所」から「発見される場所」へと価値変換することを期待している。

時計塔と壁のアクソメ図
時計塔と壁の平面図
時計塔の立面図
時計塔の断面図
ドアのある壁の立面図
はしごのある壁の立面図
壁の断面図
Detail
𓃡  Card
プロジェクトカード

Works > Clock tower for wall

𓁿  Information

期間   2019年8月
種類   建築_公共空間
担当   山地大樹

date   Aug.2019
type   Architecture_Public space
person   Daiki Yamaji

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Fin.