森のための家
House for forest家のなかに森をつくり、自然とともに住まう。森のなかで過ごす豊かなティータイムという一枚の情景を膨らました住宅。
You spend time in the forest inside your house and live with nature. A house that inflates the scene of beautiful tea time in the forest.
森のための家
01森のなかでのティータイム
四人の家族が住む家を設計した。この住宅の中心には森がある。森のなかでティータイムを過ごしたいという住人の希望を叶えるべく、森のような空間をつくることに全力を注いだ。ここで森と表現されているのは、小さな光や影が揺らいで、風がざわめいて、静謐で優しい魅惑をまとわせるような、こころが落ちつく雰囲気の空間のことである。だから、具体的な森を再現しているわけではない。そうではなくて、森のなかでのティータイムという言葉によって頭のなか現象する、あの音楽のような森を設計したいのである。
02住宅のなかに森をつくる
狭い都心において森をつくり出すため、住宅の中央に大きな中庭を計画し、その中庭を囲むように鏡面パネルを貼った壁面をすらりと立ち上げた。鏡面パネルが中庭の緑を幾度となく反射することで、中庭の輪郭は溶解して、四方に延長されてゆく。鏡が囲いこむことによっては、中庭における些細な出来事が増幅される。例えば、一本の樹木が風に揺られたならば、中庭全体の樹木が風に揺らいだかのように踊り出すのである。こうして、全体としての森が、音楽のように立ちのぼる。この不思議な風景はほとんど森の様相を呈している。
03森の上部に架けられた橋の効果
森の上部には、クロムメッキされたメッシュ状の床をもつ橋が架けられる。トップライトから侵入した光は、橋のメッシュ素材にキラキラと反射しながら拡散され、光の群れとなって中庭に射しこむ。この光の効果は木漏れ日のようである。また、メッシュ状の床に置かれた家具や人物の影が中庭に落ちてゆく。変わりゆく日常生活のなかで中庭に落とされる影は、姿や形を変えながら、中庭を日々刻々と変様させる。この影の効果は雲のようである。この橋によって、森は美しく変様するに違いない。
04森を囲む回廊
森を囲むように住宅の諸室を配置してゆく。この回廊の様な空間は、森との関係性を忘れることはない。一階にはキッチンやダイニングを配置され、ひとつづきに繋がる連続的な空間とした。住人たちは、森との関係性のなかで居心地のよい場所を探す。二階には各個人の個室とお風呂場を配置された。個室はカーテンによって仕切られ、風呂場は床を掘りこむことで露天風呂のような空間とした。二階の掘りこまれた床の部分は、一階の天井に曲面として現われて、一階の回廊に差異を与えている。したがって、一階には天井が低い部分と高い部分が現われている。
05森と共存する住宅
開口は磨りガラスの引き戸となっていて、すべての開口が壁のなかに仕舞いこめる。住人たちは家を開いたり閉じたりして、森との距離を探るだろう。この住宅では、あらゆる要素が森を起点として配置されているから、森は様々な風景をとりあつめながら、日々刻々とうつり変わってゆく。森を中心として、空間が現われては消えてゆく。これにより、住人たちは普段の生活で目を向けなかった出来事に遭遇し、まだ気づかぬものが見出されてゆく。日常が美しく浮かびあがる万華鏡のような住宅は、少しだけ世界を変様させる。森と共存する住宅のかたちである。
Works > House for forest
期間 2021年4月
種類 建築_住宅
担当 山地大樹
date Apr.2021
type Architecture_House
person Daiki Yamaji
- Books ▷ House for forest
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